Ⅱ-5、予算1億円を減額修正

例のない規模、県議会が押し切る

 高辻が知事に当選して迎えた初年度の昭和24年度予算案をめぐり、24年3月県議会が紛糾しました。議会が教育費の人件費削減などで予算の大幅減額を要求し、当局側と徹夜の折衝を続けた結果、1億円近い大修正が行われました。1億円もの大規模な歳入歳出の削減は、現在に至るまで例のないことです。

県の庶務課長の経験を持つ前田治作議長を中心に健全財政を主張する議会が、議会事務局に指示して予算案を細かく検討したところ、教育委員会の人件費に水増し予算が組まれていたことが明らかになりました。予算修正が避けられない事態となり、議会側は会期を延長して修正案を作成します。修正の金額が問題になり、議会は1億円規模の歳出減、県税の減税を目指しました。

教育委員会や県当局は修正額を小出しに認めるなど抵抗しましたが、徹夜に及ぶ折衝の結果、議会が押し切り、修正案がまとまりました。県民税や遊興飲食税などで歳入を減額し、歳出も教育費や人件費を圧縮して、議会が主張した1億円近い減額予算としました。本会議では満場一致で修正予算が可決されました。

この予算減額について、県側が対抗措置として議会解散を検討したことを当時副知事だった成田政次が回顧録「県政断章」で明かしています。

「政党4派が推薦して当選した知事の、しかも初めての年間予算ではないか。ここで議会側の修正という余り例のない決議をされることは、県民に対して議会側の知事不信任の印象を与えて県政の運営上面白くないではないか。私も腹に据えかねたので議会解散論を知事に強く進言した。知事も一時解散の腹をきめたようだが、間もなく崩れてしまった。理由は余り先例のないことをやりたくないということであった。しかし、議会側は故意にしかも先例のない修正態度で臨んでいるのだから、県当局もまた余り先例のない解散という強い態度で臨むべきものと考えた」

「見方によれば、教育費の削減分だけ料理屋や飲食店を儲けさせたという極めて皮肉なナンセンスに終わった。まことに妙な修正案になってしまった」と皮肉をこめて結んでいます。

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